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満腹探検隊−金沢の郷土料理「治部煮」(じぶに)特集−

 このページは,満腹探検隊がでかけた飲食店のお品書きの中で,金沢の郷土料理「治部煮」(じぶに)を食べた店の一覧表です。(タイトルの写真提供:金沢市)
 これまで食べた多様な「治部煮」を紹介しましょう。見ての通り,いろんな食材があります。そして,たいていは宴会の会席料理の一品として出てくるのですが,料理屋で単品で頼んだ物もあります。
 では,治部煮の写真をご覧ください。ちなみに,それぞれのページの報告は「治部煮」ではなくその「宴会」の報告ですのであしからず。
 ついでながら,「治部煮」に関するどうでもいい話「治部煮のおまけ話」が下の方にあります。お暇でしたら,お読みください。

治部煮のおまけ話

★前振り
 しかし,「金沢の郷土料理」と言いながらも,自宅ではとんと食べません。金沢に生まれて金沢に育ち,人生60年,自宅で食べたことなんて皆無でしょう。なぜ自宅で「郷土料理」と言われながらも作らないのかというと,いくつか次のような理由が思いつきます。
・食材が結構特殊
 基本の「鴨肉」なんて実はスーパーマーケットでまず見かけることはありません。なので自宅ではたいてい「鶏肉」で作ることになると思います。
 つまりは伝統の「鴨肉」なんてまず使えない。しかも真鴨はきっと高価です。たいてい売っているのは合鴨。まあどっちにしても一般家庭では鶏肉で代用することになるのがほとんどでしょう。
 それから「すだれ麩」はお店では気をつけて探さなくてはなりません(これって,自分だけか)。昔自分が子どもの頃はこの「すだれ麩」も煮しめにはよく入っていました。
 東京在住で昔金沢に来た親戚のおじさんが,うちの煮物の「すだれ麩」を見て,
「このぞうりの裏みたいな物は何なんだ?」
 と聞いたことを思い出します。
 確かにあの「すだれ麩」はぞうりの裏みたいな感じです。
・食材をそろえるのが大変
 食材が結構いろいろあるんです。もちろん季節に合わせてすべて取りそろえなくてはならないということはありませんが,中に入っているのが,鴨肉(鶏肉),しいたけ(あるいはほかのシメジなどのキノコ),麩(すだれ麩やそのほかの色とりどりの麩),にんじん(そのほか野菜としては里芋,レンコン,タケノコ,絹さやなどなんでも),ほうれん草(そのほか青菜ならば別に何でも),そのほかギンナンなどなど。そしてワサビ。
 作るときには鶏肉,しいたけ,にんじん,麩だけとかそんなのでもいいのですが,やはり伝統に則って,必要な食材をそろえるのは結構大変。鴨肉(鶏肉)とすだれ麩ははずせません。しかも,1人前はそんなに多量ではないので,今どきの少人数の家族で作ることはまずないような感じです。いや,少量作ってもいいんだけど。
 それと,最近じゃ野菜の煮物を作る家が少なくなったのかも知れませんね。簡単に煮物感覚で作って作れないことはないのですがね。
・作るのが少々面倒
 多種多様な食材と,特殊な食材,それを少人数の家庭で少量作るのは結構面倒です。まず鴨肉に小麦粉(または蕎麦粉)をまぶしておくだけでも一手間です。にんじん1本だって10人前はとれます。上品に盛りつけて食べるようなものは家庭での郷土料理とするには向いていないのでしょう。まあ,輪切りのにんじんでもどうということはないのですが。まとめて10数人分くらい作って大家族でお代わりしながら食べる,そんな時代ならば,きっとご馳走だったのでしょうね。まあ単純に鶏肉入りの煮しめに少しあんをつけた物と考えると,簡単に作れなくもありませんが。
★「治部煮」の食材あれこれ
 ということで,いくつかのサイトを見てみると案外いろいろな食材で「治部煮」を作っています。そして,簡単に家庭でも作れそうな感じでした。要するに我が家で作ってないというだけなのでしょうかね。
 ついでながら,調べたサイトの食材をちょっとだけ並べてみましょう。
・金沢市公式ウェブサイト
 鶏肉または鴨肉,すだれ麩,しいたけ,せり
・辻調理師専門学校(金沢市)
 鴨肉,しめじ,せり,すだれ麩
・キッコーマン
 鶏肉,しいたけ,にんじん,小松菜
・日本うま味調味料協会
 鴨肉または鶏肉,里いも,にんじん,しいたけ,すだれ麩,さやえんどう
・郷土料理百選
 鴨肉,すだれ麩,しいたけ,ねぎ,ほうれん草,百合根
・味の素
 鶏肉,ほうれん草,しめじ
・キリン「おつまみ道場」
 鴨肉,にんじん,しいたけ,せり
・NHKきょうの料理(お品書きは「治部煮風」)
 鶏肉,焼き麩,しいたけ,チンゲンサイ
・キューピー「3分クッキング」(お品書きは「鶏肉と厚揚げの治部煮」)
 鶏肉,厚揚げ,しいたけ,にんじん,小松菜
・レタスクラブ(お品書きは「なすととりの治部煮」)
 鶏肉,さやいんげん,ナス
 こんな感じで単なる「治部煮」も伝統的な「治部煮」にはない食材を新たに加えることで,新しい感覚の料理にしたりしています。
 しかし,全国的なお料理サイトでは「治部煮」にははずせない「すだれ麩」は入っていません。金沢以外では一般には手に入らないのでしょう。「すだれ麩」はやはり金沢独特の食材のようです。
 そして作ろうと思えば一手間かかるものの,食材を適当にそろえて家庭でもできる郷土料理ですね。
★終わりに
 金沢で生まれ育ったけど,今では家庭では「治部煮」を食べなくなったおじさんの結論としては「治部煮」は料理屋でしか食べられなくなってしまった「郷土料理」って感じですね。

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