棒田書店がおすすめするボーダホン。今回は「慎重文庫の10冊」です。
これまで日本の名作や世界の名作に対して慎重な態度だったあなたに,ぜひ挑戦してもらいたい「慎重文庫の10冊」。
本は読んでみると面白いんです。ほんと!
伊豆の踊り子の続編。孤独に悩む主人公の高校生は,あの可憐な踊り子に再び会いたくなる。噂をたよりに東北へと旅立ち,あの清純無垢な踊り子の姿を見つけようとするが……なぜか本文を読む前にタイトルを読んだだけで結末がわかってしまう作品。
苦沙弥先生の家には今日も一癖ありそうな友人,花水君や関君たちが集まって,妙な議論をしている。苦沙弥先生の書斎の水槽で飼われる蛸の目を通してかれらの会話をそして人間界を少々皮肉っぽく見た作品。
「我が輩は蛸である。」という有名な出だしで始まる。
金を賭けてスイカ王との約束を守り,友人トマトを裏切ることのなかったメロンの信実に生きる姿を描いた感動の名作。
不況の波は当然のことながら,岩手県にも押し寄せてきた。不況とはどういうことなのか,なぜ世の中が不況になるのか,これらをはじめとして,経済について子ども向けにわかりやすく,童話調に語った名作。
林さんのノルウェー旅行記である。
上下2巻という大作である。1冊は緑のカバーで,ノルウェーの旅で見聞した地理や歴史に関わる旅の記録である。もう1冊は赤のカバーで,ノルウェーの郷土料理を中心に,人々とのふれあいを生き生きと描く。
私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う−菜花が大好きな作者吉本なばなが友人の「吉子ちゃん」,愛称「キッチャン」とともにキッチンで菜花の料理を工夫,考案しながら,ついでに人生も考えるという謎の物語。
京の老舗のまんじゅう屋に引き取られた,やせっぽちの孤児アン。アンは美しく移り変わる京都の自然の中で,少女から乙女へと成長していく。そして,次々と斬新なアイデアで,新しいあんこ入りのまんじゅうを考え出す。中でも売れ筋1番は,赤毛のアンが手作りのあんで実演販売する「赤毛のあん」である。京のまんじゅう屋の物語をカナダ人の作者が描く。
そう,重要なのは食べることではなく,飛ぶことだ。風になることだ。急降下,宙返り,きりもみ,そして全速力−それぞれが勝手に飛び回り,他のかもめのことは一切考えない,はた迷惑なかもめたち。人間界をかもめにたとえた現代の寓話。
日本における本格的鳴き真似推理落語を確立したばかりではなく,親子共演の芸術推理落語をも創り出した乱猫の初期を代表する傑作推理9編を収める。
コオロギ,スズムシ,クツワムシ,マツムシによる「4カ国語麻雀」は後のタモリにも大きな影響を与えた名作である。
原子爆弾の一瞬の閃光に街は焼けくずれ,放射能の雨が降る。その荒れ果てた土地から芽を吹いたのは,世にも奇妙な黒い豆だった。食べるものもない人々はしかたなくその豆を食べるが……被爆という世紀の体験を,日常の暮らしの中に文学として定着させた,記念碑的名作。
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