分類:和食・洋食・中華
所在地:金沢市安江町17−13(別院通り沿い)
探検時期:2019年7月
今回の探検目的:宴会の前の0次会にちょい呑み
今回のお品書き:瓶ビール(中瓶)+お通し+しろの味噌煮
今回の所要経費:500円+お通しはサービス+500円→1000円
探検隊の報告:
町中の大衆食堂でのちょい呑みもいいもんだねえ。
今日は我が課の宴会。その0次会にふらりやって来た。宴会開始の6時まであと40分ほどはあるので,会場からほど近い別院通りをぶらつき,開いている店を偵察する。
飲み屋で開いているのは「立ち飲みイタリアン バッカナーレ」くらいで,ここもまだ誰も人は入っていない。ここでもいいのだが,予想ではきっと今夜の2次会以降でやって来るのではないかとの「酒飲みの勘」で,ここでの0次会には避けることとする。ちなみに,その勘通り4次会にやって来た。
さらに別院通りを東進すると,おあつらえ向きの大衆食堂がある。それがこの「いろは食堂」であった。何しろ日本の食堂で,ビールを置いていない店はない。ややこしい酒を注文するのでない限り,ビールのない食堂はないのが平和国家日本である。そこで,ここを0次会の会場に選ぶ。
店の面構えは,いかにもこの食堂は昔からやってますよという有り様。「うどん」と大書されたのれんといい,ガラスケースのサンプルといい,ちょっとかすれた何だかおすすめのお品書きの看板といい,手動の扉といい,この町で長いことやってる大衆食堂ですよという感じの年季の入った有り様。
その引き戸をがらがらっと開けると,お客は誰もいない。確かに晩ご飯の時間にはまだ早いし,かといってご常連が明るいうちから飲んでいるわけでもない。しかも,お店の人も見当たらない。そこで「こんにちは」と大きな声で,やって来たことをアピールする。すると調理場の奥から「は〜い」と声が返ってくる。のれんをかき分け出てきたのがおかあさん。
どこでも座っていいに決まっているだろうけど,一人客が座ればいいようなカウンター席もなく,テーブル席しかなかったので,
「一人だけど,どこでもいいですかね。」
と,つい聞いてしまうが,
「はいどうぞ。」
との返事。そして,テレビに近い6人掛けのテーブルの端っこに座り,
「瓶ビールください。」
と言う。ちょうど向かい側にガラスケースの冷蔵庫が見え,瓶ビールやら缶ビールに缶酎ハイなどが並んでいる。
「アサヒ,キリン,サッポロのどれにしましょう?」
と聞かれ,「サッポロは赤星なの?」と聞いたが,それはなかった。それでも,やはりここはサッポロである。金ラベルである。これが500円という,庶民価格。そして,同じ冷蔵庫に準備してあったお通しが来るのだった。
そしてつい,
「この店って,何年くらいやってるんですか?」
と聞いてみると,おかあさんが笑いながら,
「う〜ん,まあ,半世紀以上前からやってるわね。」
との答だった。
そしてお酒のアテに選んだのが「しろの味噌煮」。
お品書きのもう一つ上には「もつ煮込み」があり,どちらにしようか一瞬悩んだが,「もつ煮込み」はよく食べるお品書きなので,ここは一つ,珍しい「しろの味噌煮」を選んで注文する。
瓶ビールとコップとお通しを持ってきたついでにおかあさんがパチンとテレビのスイッチを入れていく。
一人酌をして,冷えたビールを飲みながら,ガラスケースを見ると,横には酒類の値段が張ってあり,瓶ビールは500円で,缶ビールは350円とある。中の缶チューハイも結構いろいろな種類のものが入っている。冷酒は800円とあり,これは2合瓶か。
しばらくすると,調理場からジュージュー音が聞こえてくる。「あれれ,味噌煮だから,フライパンで炒めるというよりも,鍋で煮込むんじゃないの」と思ったのだが,出てきたこの「しろの味噌煮」を見て納得した。炒めていたのは野菜で,その上に「しろの味噌煮」が載っているということか。言わば「しろの味噌煮 野菜炒めの上にのっけ」という感じである。紅ショウガとカラシが添えられ,しろの下には野菜がたっぷりあり,混ぜて食べるが,いい味である。いや,ビールが一段と進む甘辛い味噌味と言うべきか。
調理の途中で,お客のおじさんが一人やって来る。適当な席に座るが,おかあさんは一人きりで調理と接客をしているので,調理場にこもれば,来客には気がつかない模様。自分の頼んだ「しろの味噌煮」を持ってきて,ようやく気がつき,このおじさんに水が来る。
ちなみに,テーブルの左側を見ると,おしぼりがセルフサービスとあり,何だかクーラーボックスのようなものに入っていた。そこから自分の分を取り出すついでに,先ほどのおじさんにも1本持っていく。
そして,そのおしぼりの箱の向こうに「ちょっと飲みたい人へ」などという,ちょい呑みのアテになりそうなお品書きの写真を並べたポスターがある。「やっぱり大衆食堂をちょい呑みの場所にする人がいるんだなあ。」などと改めて感心するとともに,こうやって明るいうちからちょい呑みする自分の姿も,お店の人にとっては不自然には見えないんだろうな,などと,安心して(?)呑むこととする。
ついでにこのポスターの真ん中には「ミニおつまみのFRIENDSたち」などと,いきなりの英語入りであるのがおかしい。何だかこの年季の入った大衆食堂には似合わぬ英語である。自分だったら何と書くだろう。「ちょい呑みのお供にいかが?」くらいか。
さて,この「しろの味噌煮」は結構量があり,追加で缶ビールを頼もうかと思ったが,間もなく宴会も始まることだし,それはやめた。いやはや,こいつだけでビールがたっぷり飲める。中瓶ではなく,大瓶があればちょうどよかったくらいかもしれないが,ここには大瓶はない。いや,中瓶2本でも十分にいける量だった。そして,ビールの進むなかなかに美味しい味噌味だった。
支払いをする頃にはもう一人,おかあさんのおかあさんらしき女性も登場。年季の入った大衆食堂に年季の入った女性である。いよいよお客も増えてくる時間になるのか。
支払いは1000円。お礼を言って店を去る。
別院通りを今来た金沢駅の方向に歩いて行くと,先ほど誰もいなかった「立ち飲みイタリアン バッカナーレ」にもお客が入っている。いよいよみんなが呑みはじめる時間か。こちらはすでに呑みはじめてしまったが……
探検隊おまけの報告:
このとき(2019年7月)のお品書きいろいろ
麺類(うどん)
かけ→400円,いなり,あんかけ,玉子とじ→各450円,
いなりとじ,たぬき,かやく,月見→各500円,
カレー,わかめ→各550円,
肉,鳥南蛮,天ぷら,おろし,おもち,チャンポン→各600円,
天ぷらとじ,とんかつ,親子,他人,なめこ,にしん,カツカレー→各650円,
鍋焼き,味噌煮込み→各700円
中華
ラーメン→450円,
チャーシューメン,カレーラーメン,味噌ラーメン,塩ラーメン,長崎チャンポンメン,五目そば,焼きそば,焼きめし→各600円,
味噌バターラーメン,塩バターラーメン→各650円,
ギョーザ→300円
冷麺類
冷やしうどん→500円,
冷やしラーメン,冷やしそうめん,ざるそば,ざるうどん,冷やむぎ→各600円,
冷やしおろしそば→650円,冷やしなめこそば→700円
洋食
カレーライス→550円,チキンライス,ハヤシライス→各600円,
カツカレー→650円,オムライス→700円
丼物
いなり丼,玉子丼→各600円,親子丼,他人丼→各650円,
いなりとじ丼,肉丼,カツ丼,八宝丼→各700円,
天とじ丼→800円
ライス 小→150円,中→200円,大→250円
おにぎり→100円,味噌汁 小→100円,大→200円
定食
コロッケ定食→700円,
生姜焼き定食,もつ定食,焼肉定食,しろの味噌煮定食,おでん定食,ミンチカツ定食,オムレツ定食→各800円,
とんかつ定食→900円,海老フライ定食→1100円
お菜
冷ややっこ→150円,野菜煮物,煮魚,焼き魚,サラダ→各300円,
コロッケ→400円,湯豆腐→450円,
ミンチカツ,オムレツ,焼肉,もつ煮込み,しろの味噌煮,おでん→各500円,
とんかつ,生姜焼き→各600円,海老フライ→800円
など