「読んでみまっし金沢弁」によせられたおたより大特集

金沢弁 「行かなんだ」−新しい金沢弁の勢力拡大−
      ほたるいかさんより (おたより番号:38)

(このおたよりに登場する金沢弁→行かんだ,行かなんだ)

「金沢弁」大変興味深く拝読致しました。
楽しく,ためになるHPですね。
さて,否定過去表現について,金沢及びその周辺部では,興味深い現象がみられるようです。
冨田彩子さんの論文によれば,JR北陸本線の7つの駅(美川・松任・野々市・西金沢・金沢・東金沢・森本)の地域では,ダイナミックな変容がみられます。
「行かなかった」について,高年層では,野々市と西金沢の間に方言境界線があり,野々市より西では「行かんだ」,西金沢より東では「行かなんだ」・「行かなかった」となっています。
「行かんかった」は野々市に「行かんだ」との併用でみられるのみです。
しかし,壮年層になると「行かんかった」が,野々市・西金沢・東金沢へと広がり,さらに青年層では,7地点全てに勢力を拡大し,もはや,旧来の「行かんだ」・「行かなんだ」は姿を消してしまいます。
縦軸に世代,横軸に7つの地点をとったグロットグラムという図をみると,「行かんかった」は,ちょうど野々市付近を頂点として,世代が下るに従って左右にすそのが広がってゆくピラミッド型に勢力を拡大していることがわかります。
即ち西金沢及び金沢駅周辺部での金沢弁は,高年層では「行かなんだ」,壮年層以下では「行かんかった」に替わっているわけです。
改めて,金沢エリアの影響力の強さと,新しく生まれ勢力を拡大してゆく方言の生命力が感じられます。
もし他にあれば,世代差がみられる金沢弁についても,HPの中でお教え下さいますようお願い致します。
楽しみにしております。
ほたるいかより。
 ○参考文献:冨田彩子「石川県加賀地域における否定過去表現の社会言語地理学的研究」斎藤孝滋編『地域言語調査研究法』おうふう収蔵

田舎の雰囲気の仕切り線

☆☆PKPからの一言☆☆
方言研究者ではないので,方言の世代差については全く研究したことはないのでした。
しかも「行かなんだ。」というのは自分は使わなかったので,これって金沢弁ではないと思っていたのでした。
同じ職場の,河内村出身の人と,津幡の人がいつも「行かなかった」の意味で「行かなんだ。」を使うので,河内村と津幡の方言しゃべっとるなあ,と思っていました。
これも世代差??

田舎の雰囲気の仕切り線

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